こんばんは、スタッフのUです。
本日12日夜から15日明け方にかけて、ふたご座流星群が見られるようですね(ピークは明日13日深夜から14日の明け方まで)。
これを読んでおられる方の中には「なぜある星座から流星が飛び出るタイミングを予測できるの?」と不思議に思ったことがある方もいらっしゃるかも知れません。
そもそも、この「ふたご座流星群」という呼び名自体に二つのミスリーディングがあります。
まず、「ふたご座」流星群と言いますが、ふたご座自体から流星が飛び出ているわけではありません(ふたご座を構成する恒星自体が互いに遠く離れていますしね)。この呼び名はあくまで、「ふたご座の方角」からの流星が見られる、という理由で付けられたものです。
そしてもう一つ、「流星群」と言いますが、流れているのは「星」ではありません。
この「流星」の正体を明かせば、それがそのまま先の疑問に対する答えにつながります。
地球の公転周期上には、同じく太陽のまわりを回る彗星(あるいは小惑星)が宇宙空間に放出したチリの粒(直径数mm)が残っています。このチリが特に密集したところを地球が通過する際、チリが高速(秒速20〜70km)で地球の大気にぶつかり、チリの前にある空気が急激に圧縮されて高音・高圧になり、それによって大気がプラズマ化(注)し光を発します。あの「流星」に見えるものの正体は、チリとその周りの大気が発した光なのです。
つまり、地球の公転周期上に彗星や小惑星が残したチリが密集した地帯があるため、毎年同じ時期に特定の「流星群」が観測されるわけです。
流星群はいくつかありますが、大量の「流星」が観測される「三大流星群」は、1月初旬の「しぶんぎ座流星群」、8月中旬の「ペルセウス座流星群」、そして今回12月中旬の「ふたご座流星群」です。流星のもとになるチリを撒き散らした彗星あるいは小惑星を「母天体」と呼びますが、ふたご座流星群の母天体は、フェートンという、1.43年の公転周期をもつ小惑星です。
ここで新たな疑問を抱く方がいらっしゃるかも知れません。「ふたご座自体から流星が飛び出ているのでないことはわかったが、しかし、流星群はあたかも宇宙空間の一点から放射状に飛び出るように見えるがあれはなぜだ」と。
ここで少しイメージしてみていただきたいのですが、あなたは大きな駅のホームに立って、たくさんの電車が平行に駅に乗り入れてくるのを、電車の進行方向の側から観察しているとします。するとそれらの電車は、平行に走っているにもかかわらず、あたかも遠くの一点(遠近法でいうところの「消失点」)からこちらに向かって拡散しながら入ってくるように見えるはずです。
「流星」も同じです。地球の大気にチリは平行に飛び込みながら光を放ちますが、それを地上から観測している私たちの視点からは、遠くの一点から放射状にそれらが飛んでいるように見えるだけなのです。「ふたご座流星群」の場合、その一点(「放射点」と呼びます)がふたご座の位置に重なるため、そのように呼ばれているのです。
流星を多く見られる貴重な機会ですが、今回は空に月も出ていますので少し見づらいかも知れませんね…。
もし見ることができれば、ここを見てくださっている皆様と、私たち自身の健康をお祈りしたいと思います。突然冷え込みが厳しくなってきましたが、皆さん、どうか風邪など引かれませんように。コロナに関係なく、手洗いとうがい(できれば鼻うがい)は忘れずに。
(注)プラズマ化:気体に熱や電気エネルギーを加えると、気体の分子が原子に解離して、さらに温度が上昇すると電子が原子から離れ、中性分子とイオンが混在した、非常に活性化した状態になります。これが、固体・液体・気体以外の「物質の第4の状態」とも言われる「プラズマ」です。