『春の祭典』

こんばんは、スタッフのUです。

私、『春の祭典』を観に行くことになりました!

そう、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)が作曲し、ヴァーツラフ・ニジンスキー(1890-1950)が振付をし、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)がシャンゼリゼ劇場の柿落とし公演(1913年)で演じたバレエ作品の『春の祭典』です。

当時の振付を再現した動画がYouTubeにアップされていました。

現代的な感覚で言っても、とてもバレエとは思えない振付で、バレエ・リュスによる初演時に客席が騒然となった(一部では、暴動同然だったという説も)という伝説もうなずけます。

私が観に行くのはニジンスキーによる振付のものではなく、ピナ・バウシュ(1940-2009)の振付による『春の祭典』です。

これは、あのヴィム・ヴェンダースが監督したピナ・バウシュのドキュメンタリー映画『Pina / ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(2011年)の予告編ですが、この0:20〜0:29と1:19〜1:24で映っている、砂を敷き詰めた舞台上で演じられているのが、ピナ・バウシュが芸術監督と振付を務めたヴッパタール舞踊団による『春の祭典』です。

もっとも、今回私が観に行くのはヴッパタール舞踊団によるものでもなく(こんなのばかりですね…。すいません…)、アフリカ13か国から結集したダンサーたちによるものです。

PARCO presents ピナ・バウシュ「春の祭典」、「PHILIPS 836 887 DSY」/ ジェルメーヌ・アコニー「オマージュ・トゥ・ジ・アンセスターズ」来日公演 | PARCO STAGE

形を変えながら、それぞれの時代それぞれの社会の中で命脈をつないできた文化の力に触れてきたいと思っています(と言っても2ヶ月後ですが)。

かつて、カナダの内科医ウイリアム・オスラー(1849-1919)は

“The practice of medicine is an art, not a trade; a calling, not a business; a calling in which your heart will be exercised equally with your head.”

つまり「医療とはただの手仕事ではなくアートである。商売ではなく天職である。すなわち、頭と心を等しく働かさなければならない天職である」と言ったそうです。

この「アート(art)」という言葉は「芸術」、「技術」、そして「人文学((liberal) arts)」のどの意味合いでもとり得る気がしますが、私たちも常日頃からそれらの「アート」を意識しながら仕事に取り組んでいきたいと思っています。

エルニーニョ

こんばんは、スタッフのUです。

今日こんなニュースを見かけました。

「エルニーニョ現象 終息とみられる」夏は高温予想 気象庁 | NHK

エルニーニョ現象は、太平洋の中部から南米ペルー沖にかけて、海面水温が平年よりも上がる現象のことで、一度発生すると半年から1 年ほど続きます。

このエルニーニョ現象が昨年の春から続いていたのですが、最新の観測で海面水温が下がっているということで、昨日気象庁がエルニーニョ現象が終息したと見られる旨を発表したようです。そして、夏から秋にかけてはラニーニャ現象(エルニーニョ現象の逆で、太平洋中部から南米沖の海水温が通常より低くなる現象)が起きる可能性もあるようです。

エルニーニョが終息、秋にラニーニャで猛暑か 気象庁 | 日本経済新聞

こんな、日本から遠く離れた海の水温の情報がなぜ日本でニュースになるかといえば、エルニーニョ現象もラニーニャ現象もいずれも異常気象の原因となることが知られているためです。エルニーニョ現象の場合は、太平洋や北米では通常の年より気温が高くなったり大雨が降ることがあり、日本では夏に雨が増えて涼しい日が続いたり冬には暖かくなりやすくなります。またラニーニャ現象の場合、太平洋地域での乾燥、東南アジアでは豪雨、日本では夏は猛暑になりやすく冬は大雪が降ることもあります。

ちなみにこの「エルニーニョ」も「ラニーニャ」もどちらもスペイン語で、インターネットで見ると「『エルニーニョ(El Niño)』は『男の子』、『ラニーニャ(La Niña)』は『女の子』の意味」と書いているところが多いですが、元々「エルニーニョ」に関しては、毎年12月ごろに南米のペルーとエクアドルの国境付近の海水温が上昇することがあり、それがクリスマスの時期であることから地元の漁師がその現象を「神の子」イエスを意味する「エルニーニョ(El Niño)」と呼んでいたのが元になっているようです。ですので、「男の子」と言っても英語で言えば「The Boy」、つまり特定の男の子=神の子・イエスなわけですね。

「ラニーニャ現象」のことをかつては、「エルニーニョの反対」ということで「アンチ・エルニーニョ」と呼んでいたこともあったのですが、エルニーニョに上記のような語源があるため、「アンチ・エルニーニョ」としてしまうとアンチ・キリスト的なニュアンスが含まれてしまうということで、「The Boy」の逆ということで「The Girl」を意味する「ラニーニャ(La Niña)」と呼ばれるようになったそうです。

前々回の「台風1号」で書いた台風の命名の仕方もそうですが、命名も何かと気を遣いますね…。

この夏も猛暑になる可能性があるようですので、皆さん、熱中症にはくれぐれもお気をつけください。

日本に島はいくつある?

こんばんは、スタッフのUです。

今日は、某サイトのニュース記事で目にしたお話を。

言うまでもなく日本は島国なわけですが、日本に島がいくつあるか皆さんご存知ですか?

ここでいう「島」は、

  1. 法令等(離島振興法、有人国境離島法等)に基づく島
  2. A.のほか、国土地理院の電子国土基本図を用いて、周囲の長さが100m以上の陸地
  3. B.において、自然に形成されたと判断できる陸地。なお、湖や沼など内水面にある陸地は対象外。

という条件を満たすものとします。

では、予想して以下の中から選んでみてください。

  1. 約3,500島
  2. 約7,000島
  3. 約14,000島

「え?一番少なくても3,500島?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

では、ヒントです。

最も島が多い都道府県は長崎県で、1,479島あります(正直に告白しますと、私が予想した島の数はこれの半分以下でした…)。

皆さん、選びましたか?

正解は…

実はなんと「3」 の「約14,000島」です(正確には14,125島)。

この正解を聞いて、ひょっとするとこう思った方がいらっしゃるかも知れません。

「え?日本の島の数は6千いくつと聞いた記憶があったから2番を選んだんだけど?」

と。

実は、37年前(1987年)に海上保安庁が計数して公表した島の数は6,852島だったのですが、去年(2023年)国土地理院が上記の条件で島を改めて計数したところ、計測技術の向上などの影響で2倍近くの14,125島になったということです。

日本の島 数え直しで2倍以上に 最多は長崎 北海道が次ぐ-NHK政治マガジン(2023年2月28日)

技術の向上によって、医療も含めて色々なものの精度が上がっていきますね。もちろんそれを使いこなす人間側の能力が大切なのですが。

台風1号

こんばんは、スタッフのUです。

昨日27日(月)未明にこんなニュースがありました。

台風1号発生、史上7番目の遅さ…あす広い範囲で警報級大雨の恐れ : 読売新聞オンライン

「史上7番目の遅さ」とあるので、統計のある1951年以降、台風1号の発生が最も遅かったのがいつだったのか調べてみると、1998年の「7月9日」だそうです。

逆に、台風1号の発生が最も早かったは、なんと!2019年の「1月1日」!でも、1951年以降の74年で、1月に台風1号が発生したのは27年もあるようで。

台風に関しても調べ始めると色々なことが出てきますね。

Q1. 台風とハリケーンとサイクロンの違いは?

A1. 基本的には地理的な位置によって区別されますが、サイクロンがちょっとややこしいですね。

  • 台風…北西太平洋(正確には北半球の東経100度〜東経180度)に位置する熱帯低気圧
  • ハリケーン…北部大西洋、東部北太平洋(北半球の西経140度より東)、中部北太平洋(北半球の西経140度〜西経180度)および南東太平洋(南半球の東経160度より東)に位置する熱帯低気圧
  • サイクロン…サイクロンは一般の「低気圧」の総称で、その意味では台風もハリケーンもサイクロンの一種ということになりますが、台風とハリケーン以外の場所(インド洋・南太平洋など)に位置する強い熱帯低気圧を指すこともあります。

上記のように、位置によって呼び方が決まりますので、ハリケーンが西経(東経)180度を超えて、北西太平洋に入ってくると台風と呼ばれることになります。

Q2. 台風とタイフーン(Typhoon)は同じものか?

A2. 厳密には、定義が異なるようです。

日本の気象庁は、最大風速が34kt(ノット)(秒速約17.2m)以上の熱帯低気圧を「台風」と呼びますが、国際的には最大風速が64kt(秒速約32.7m)以上の熱帯低気圧を「タイフーン(typhoon)」と呼ぶそうです。ちなみにハリケーンも、この最大風速64kt以上の熱帯低気圧を指すようです。どうりでアメリカのハリケーンのニュースなどを見ていて、日本の台風よりも被害が甚大な印象を受けるわけですね。

Q3. 台風の名前はどうやって決まる?

毎回知恵を絞って命名しているわけではなく、2000年以降は、台風委員会(日本含む14カ国等が加盟)が140個の固有の名前(加盟国などが提案した名前)を付けることになっているそうです。2000年の台風1号にカンボジアで「象」を意味する「ダムレイ(Damrey)」というアジア名が付けられ、以後、発生順にあらかじめ用意された140個のアジア名を順番に用いて、その後再び「ダムレイ」に戻る仕組みだそうです。

台風の番号とアジア名の付け方(気象庁)

今回の台風1号は「イーウィニャ(Ewiniar)」ですので、このリストの9番目ですね。日本からは、様々な理由があって「コイヌ」や「ヤギ」や「ウサギ」などの星座名に由来する名前が提案されているようですが、なんとも緊張感が削がれるような…。

ともあれ、まだこの後も大雨が続くようですので、皆さま、どうかお気をつけて。

仕事でもそうですが、危機的な状況になってから諸々振り返ったり準備したりするのでなく、日頃から危機管理と準備を怠らないように心がけていきたいものですね。

『ミルクの中のイワナ』

こんばんは、スタッフのUです。

先日、タイトルにある『ミルクの中のイワナ』という映画を観てきました。

『A TROUT IN THE MILK / ミルクの中のイワナ』公式サイト

研究者や漁業協同組合の組合員や釣り人などの証言を集め、イワナの生態や現状などを浮き彫りにしていくドキュメンタリーだったのですが、とても面白いものでした。

映画の中で色々興味深い話があったのですが(養殖業の稚魚放流をしてもイワナを増やすことには繋がらないという話や、環境DNA分析の話など)、その中でも特に面白かったのが、ハリガネムシが繋ぐエネルギー流の話でした。

イワナはかなり獰猛な肉食性の魚だそうで、口に入るサイズであればヘビやネズミなどを食べたりもするそうなのですが、バッタ目の陸生昆虫であるカマドウマを食べているケースが見られる、と。翅が無い陸生昆虫のカマドウマが、なぜ水の中で生きるイワナに食べられているのかについては、ながらく謎だったのですが、その謎を解く鍵が寄生虫のハリガネムシです。

流れは以下のようになっています。

 寄生虫のハリガネムシが水中に卵を産む。

→孵化した幼生は、カゲロウなどの水生昆虫に食べられ、そこでシスト(厚い膜に包まれた休眠状態)となる。

→カゲロウは、シストを体内に抱えたまま羽化し、陸上に飛び立つ。

→陸上に出てきたカゲロウを、陸生昆虫のカマドウマが食べる。

→ハリガネムシのシストは、カマドウマの体内で休眠から目覚めて成長を遂げる。

→成虫になったハリガネムシは、宿主であるカマドウマを操り(!)水辺に誘導する。

→水辺に誘導されたカマドウマをイワナが食べる。

→そのイワナの体内から脱出したハリガネムシが、また水中に卵を産む。

→…(以下、くり返し)

…すごくないですか?

寄生者(ハリガネムシ類)が駆動する渓畔生態系のエネルギー流の解明(京都大学)

いくら科学が発達しても、自然は常に果てしない奥深さを見せ続けてくれますね。あ、これはもちろん科学が無力だと言いたいわけではありません。自然の雄大さに畏怖の念を抱くとともに、そこで私たちが学び続けられることはいくらでもあるという、ある意味とても清々しい感慨です。