前回まで小児の気道狭窄の中で先天性疾患を説明してきましたが、今回は後天性な気道狭窄についてお話しします。
後天的なものの中で気管切開を要する重篤な状態を引き起こす代表的なものは長期経口挿管によるものです。
その中でも数が多いのが未熟児の長期挿管後の喉頭気管狭窄です。
未熟児の場合、超早期産などの場合、気管切開されるまで数週間、数ヶ月経口挿管されていた、という患児に度々出会います。
以前、成人の場合で説明しましたように(http://airwaystenosis.org/2017/09/07/海外の気道疾患治療(6)成人の声門部・声門下/)長期経口挿管の場合は、しばしば複数の箇所に狭窄が来ることがあります。
上記の図は成人用のもののため、チューブの先端にカフという風船が描かれていますが、未熟児や新生児ではこのカフがありませんので、特に狭窄を来たしやすい場所としては声門後部・声門下ということになります。
このような場合、声門後部のみに病変があるのか、声門下のみに狭窄があるのか、その双方に狭窄ができたのか、によって手術術式が異なってくるのに加え、その狭窄の度合いによっても細かく術式を変更する必要が出てきます。そのため、治療に関してはまず診断を正確につけるために術前の全身麻酔下にてすべてのレベルの狭窄の有無および性質をきちんと評価しておかないと術式を決定するのは難しいと考えます。
次回は病変の位置と治療法について説明いたします。