こんばんは、スタッフのUです。
以前「September」という記事を挙げましたが、本日は「November」です。
今日ぼんやりと「『November』ってたしか、ローマ暦で9番目の月って意味だったな。ということは、『novem』って、フランス語の『neuf(9の意味)』と同じ系列の単語なんだろうか。でも、フランス語で『neuf』って『新しい』の意味もあるよな。そういえば、イギリスの哲学者フランシス・ベーコンの著作『新機関』ってラテン語の原題は『Novum Organum(ノヴム・オルガヌム)』だったっけ。ひょっとしてラテン語まで辿ると『9』と『新しい』って同じ語源になるのか?」などと思って調べてみました。
するとどうやら結論としては「否」。「9」の意味の「neuf」の語源はラテン語の「novem」、「新しい」の意味の「neuf」の語源はラテン語の「novus」。フランスでは、この異なる語源の言葉が入ってきて、同音異義語「neuf」になったようです。
ちなみに『Novum Organum』で、形容詞「novus」が「novum」に変化しているのは、後続の名詞「organum」の性・数(中性・単数)に一致させたためです。
ひょっとするとこれを読んでいる方の中に、「フランス語の『新しい』って『ヌーヴォー』じゃなかったっけ?」とか「『ヌーヴェル』じゃなかったっけ?」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。アール・ヌーヴォーやボジョレー・ヌーヴォーやヌーヴェル・ヴァーグなどでおなじみのアレですね。「ヌーヴォー=nouveau」あるいは「ヌーヴェル=nouvelle」は「今度の」という意味の「新しい」で、「neuf」は「新品の」という意味の「新しい」です。
ちなみにレオス・カラックスの映画『ポンヌフの恋人(Les Amants du Pont-Neuf)』(1991年)の「ポンヌフ」は「Pont-Neuf(「新しい橋」の意味)」という、パリに現存するパリ最古の橋(「新しい」のに「最古」!)ですが、映画で写っているポンヌフは実際のポンヌフではなく、南フランスのモンペリエに作られた壮大なパリの街並みのセットの一部なのですが、この話はまた機会があれば(興味のある方は「ポンヌフの恋人たち セット」で調べてみてください。かなりとんでもない逸話があります…)。
だいぶ脱線してしまいましたが、語源などを調べてみるのも面白いものですね。新しい情報が爆発的に増えていく時代に私たちは生きていますが、人間というもの自体はそんなに大きくは変わっていないと思いますので、「温故知新」の姿勢も依然大切ですね。私たちも「故(ふる)きを温(たず)ねる」姿勢を忘れないようにしたいと思います。