こんばんは、スタッフのUです。
今、朝ドラ(NHKの「連続テレビ小説」)で、『おむすび』というドラマが放送されていますね。
さて、皆さんはあのお米を握ったものを「おむすび」と呼びますか?それとも「おにぎり」と呼びますか?それとも「にぎりめし」?
何をして呼び名が変わるのかについて、俗説では「関西では『おむすび』、関東では『おにぎり』」とする「地域」説、「俵形が『おむすび』、三角形が『おにぎり』」とする「形状」説など色々な説があるようですが(挙句は、「大きく握るのが『おむすび』、小さく握るのが『おにぎり』」とする「大きさ」説、「固く握ると『おむすび』、ゆるく握ると『おにぎり』」とする「力加減」説まであるそうで)、いずれもあくまで「俗説」に過ぎないようです。
文献上は、奈良時代初期の地誌『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』の中にある「握飯(にぎりいい)」が「おむすび/おにぎり/にぎりめし」に当たる料理の最古の記録と見られているようです。その「握飯」が「にぎりめし」に、あるいは「お」がついて「おにぎり」になったのは想像に難くないですが、「おむすび」は何が由来でしょう。一説には、『古事記』に登場する「高御産巣日神(たかみむすびのかみ)」と「神産巣日神(かみむすびのかみ)」の「産巣日(あるいは「産霊」。読みはいずれも「むすび」。生産・生成を意味する言葉)」が由来とする説、人と人との良縁を結ぶという縁起の良い言葉としての「結び」から来たとする説など、これも複数の説があるようです。
NHKが行ったアンケートによると約90%の人が「おにぎり」という呼称を使っているようですので、今回の朝ドラでなぜ「おむすび」という呼称の方を使ったのかはわかりませんが、このドラマで描かれている阪神・淡路大震災が関係しているのではないかと思われます。
「おむすび」米田愛子役・麻生久美子「いろんな思いが押し寄せて、この気持ちが伝わるようなお芝居をしないといけないなって」 | ステラnet
この記事で主人公の母・米田愛子を演じる麻生久美子さんが「あそこ(震災後の避難所で、幼い結(磯村アメリ)がおむすびをもらうシーン)で結がおむすびをもらうところから、この物語が生まれたという話も伺っていた」とおっしゃっています。
「いや、それだけならタイトルは『おむすび』である必然性など無いじゃないか。『おにぎり』でもいいでしょう」と思われる方も多いと思いますが、あのドラマが阪神・淡路大震災を描こうとして生まれたドラマだとすると、タイトルが「おむすび」である必然性が出てきます。実は阪神・淡路大震災が起きた1月17日は、「一般社団法人日本記念日協会」によって「おむすびの日」と認定されているのです。「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」(事務局:兵庫県)が、ごはんのおむすびだけでなく人と人との心を結ぶ「おむすび」の日を作ろうと全国公募し、1995年に発生した阪神・淡路大震災でのボランティアによるおむすびの炊き出しが人々を支えたことから、いつまでもこの善意を忘れないために、大震災の起きた1月17日を「おむすびの日」として2000年に制定し、現在は「公益法人米穀安定供給確保支援機構」がその活動を引き継いでいるそうです(ちなみに「おにぎりの日」は6月18日)。
来年の1月17日は阪神・淡路大震災からちょうど30年。私が生まれてから今に至るまででも、新型コロナ・ウイルスのパンデミックも含め、生きて在ることの文字通りの意味での「有り難さ」を痛感させられることが何度かありましたが、人々の健康に資する立場の者として初心にかえり業務に取り組んでいきたいと思います。