気道疾患を説明するためにまず”気道”について解説します。上記の図を参照ください。
(1)呼吸に必要な酸素を含む空気は鼻腔あるいは口腔から体内に入ります。通常は呼吸に際しては鼻腔から空気が入るのが正常とされています。鼻腔から入ることによって空気が加湿されるためです。
生まれつき鼻腔と咽頭の境界が閉じている状態(先天性後鼻孔閉鎖症)やアデノイド増殖症などで鼻呼吸が難しい場合、口呼吸になることがあります。
(2)鼻腔あるいは口腔に入った空気は次に咽頭を通過します。
この部分の狭窄は扁桃腺肥大やアデノイド増殖症など器質的な原因による狭窄もありますが、機能的な狭窄も多く、舌が落ち込んで無呼吸の原因となったり、先天性の神経疾患などで咽頭の筋緊張の低下による閉鎖などがあります。
(3)咽頭を通過した空気は喉頭に到達します。喉頭を拡大したのが下図です。
喉頭は主に甲状軟骨と輪状軟骨によって形成される空間を言います。
甲状軟骨に隠れるように声帯があり、その上下で便宜的に声門上、声門下と分かれます。
この声門上、声帯、声門下それぞれ特有の狭窄が起こり得ますが、病態はほぼ全く異なるものであり、診断および治療も経験を積んだ専門家でないと正確にはできていないのが現状です。
輪状軟骨下端から尾側に気管が連続しています。これが気管分岐部という左右の分岐に到達したのち左右気管支とつながり、分岐を繰り返し肺に到達します。
この鼻腔・口腔から肺に至るまでの一本の通り道に原因や病態の異なる数々の狭窄が起こり得ます。これらを全てのレベルで正確に診断し、それぞれに対して適切な治療が必要を行うことが必要となります。
以上の全てのレベルに問題がないかを評価するところから気道疾患の治療は始まります。