当法人が研究デザイン、システム開発、結果解析などに参加した論文が出版されました。VAL-MAPという手技の知識が外科医の術式判断に与える影響について検討した論文です。
当法人が開発に参加している研究論文が出版されました
当法人がシステム開発を中心に参加している共同研究の論文が出版されました。消化器手術後の食事の評価のために開発されたアプリおよびオンラインシステムに関する受容性・操作性を評価する研究で、これを用いて更なる研究の展開が期待されます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/acrt/30/1/30_33/_article
当法人が参加した研究論文が出版されました
当法人が参加した研究論文が出版されました。医療用アプリの国際的評価基準の日本語版の開発論文です。これを用いて日本で公開されているアプリの客観的評価を行うことにより適切なアプリ選択に貢献できることが期待されます。
海外の気道疾患治療(15)小児の気道狭窄の治療:後天性気道狭窄(2)
前回、未熟児などの長期経口挿管後に発生する後天性気道狭窄の機序について説明いたしました。
基本的には長期経口挿管後の気道狭窄の発生機序は成人と同じで、このブログでも以前取り上げております。
しかし、小児と成人では幾つか異なる面もあります。
私は元々スペインにいた時に成人の気道狭窄の手術から学び始めたため成人の手術も多く経験していますが、成人の長期挿管例は多くの場合、心筋梗塞などの基礎疾患に対して行われており糖尿病の合併なども多く、喉頭の破壊が小児よりも激しい印象があります。また、喉頭の軟骨が骨化していることも関係しているのか軟骨が溶けて消失しているなど喉頭の再建に難渋することもあり、小児例では一例も必要となったことのない輪状軟骨全摘術なども何例か経験があります。
これに対し、小児の場合は軟骨が非常に柔らかいことや糖尿病や加齢の影響などがなく、組織の状態が成人とは異なると考えています。
小児の気道狭窄の治療に関してはこれが比較的大きな違いをもたらしています。成人の場合は、喉頭の軟骨に限らず全身の軟骨が加齢により徐々に骨化していくため、小児でしばしば行われる肋軟骨移植という選択肢が成人、特に高齢の患者にはあまり行われない、ということがあります。
これに対して、成人の治療は多くの場合は、狭窄部の切除・吻合を行う輪状軟骨気管切除(Primary cricotracheal resection: PCTR)という方法を行います。これは以前のブログで解説していますので下記を参考にしてください。
海外の気道疾患治療(4)成人の声門下狭窄の手術:Pearsonの喉頭気管切除
海外の気道疾患治療(7)成人の声門部・声門下狭窄の手術:Couraudの手術
切除吻合はもちろん小児にも適応になりますが、この術式に加え、小児に対しては、肋軟骨を用いて開大を行う喉頭気管再建(Laryngotracheal reconstruction: LTR)という別の術式が存在します。理論的には成人でも可能ですが経験上は50歳を過ぎると軟骨の質が特に悪くなるため、主に小児のための手術と考えています。
ただし、これはどちらの術式でも良いというわけではなく、狭窄の部位・機序・狭窄の程度で細かく術式が変わるため、術前の評価は特に注意が必要です。この手術を受けたものの術後気管切開の閉鎖ができないという場合、最初の手術で適切な術式が選択されていない場合が見受けられ、特に初回手術は二回目以降に比べ手術の難易度も下がるため慎重な術式選択が必要とされます。
海外の気道疾患治療(14)小児の気道狭窄の治療:後天的気道狭窄(1)
前回まで小児の気道狭窄の中で先天性疾患を説明してきましたが、今回は後天性な気道狭窄についてお話しします。
後天的なものの中で気管切開を要する重篤な状態を引き起こす代表的なものは長期経口挿管によるものです。
その中でも数が多いのが未熟児の長期挿管後の喉頭気管狭窄です。
未熟児の場合、超早期産などの場合、気管切開されるまで数週間、数ヶ月経口挿管されていた、という患児に度々出会います。
以前、成人の場合で説明しましたように(http://airwaystenosis.org/2017/09/07/海外の気道疾患治療(6)成人の声門部・声門下/)長期経口挿管の場合は、しばしば複数の箇所に狭窄が来ることがあります。
上記の図は成人用のもののため、チューブの先端にカフという風船が描かれていますが、未熟児や新生児ではこのカフがありませんので、特に狭窄を来たしやすい場所としては声門後部・声門下ということになります。
このような場合、声門後部のみに病変があるのか、声門下のみに狭窄があるのか、その双方に狭窄ができたのか、によって手術術式が異なってくるのに加え、その狭窄の度合いによっても細かく術式を変更する必要が出てきます。そのため、治療に関してはまず診断を正確につけるために術前の全身麻酔下にてすべてのレベルの狭窄の有無および性質をきちんと評価しておかないと術式を決定するのは難しいと考えます。
次回は病変の位置と治療法について説明いたします。